蕎麦(そば)の善し悪しを決めるのは生育環境、つまりは、産地の自然条件ですが、もっとも大切なのが収穫後の保存状況や品質管理のありかたです。味のおおかたは、それで決まってしまいます。故に、当店のささやかな自慢は、素材へのこだわり。蕎麦粉、醤油、鰹などの主要な材料には産地まで直接出向き徹底して吟味いたしました。 蕎麦(そば)は収穫後、直ちに酸化防止の為の適切な処置が施され、その後、細心の注意と愛情とで低温倉庫にて大切に保存されたものを使用しています。ですから、どの季節に召し上がって頂いても新蕎麦(そば)同然の爽やかな風味と薄緑色がほのかに残っています。 その上質の蕎麦(そば)を、ゆっくりゆっくりと丹念に石臼で挽き、日を置かず、新鮮なまま素早く打ち、さっと茹で、お客様へ供します。挽きたて、打ちたて、茹でたての「三たて」の味を、存分にお楽しみください。  それにしても蕎麦(そば)打ちは楽しいものです。 月並みな言いようながら、「たかが蕎麦(そば)、されど蕎麦(そば)」。蕎麦(そば)打ちの工程そのものは至って単純なもの。それだけに、ほんの僅かな違いが、出来上がりを大きく左右します。その意味では大変に難しくもあり、また、工夫する楽しみがございます。たまに何事かをフッと会得したかのような気になることもありますが、安定した出来栄えになるまでは、やはり、まだかなりの日時と、修練を要するようです。 それでも一生懸命、心を込めて打たせて頂いておりますので、いまのところの腕の未熟さと、その日その日の出来不出来は平にご容赦ください。  ところで、せっかちな江戸の庶民は「蕎麦(そば)屋に長居は野暮だ」という美学を持っていたようですが、当店ではそのまったく逆を行き、なるべくのんびりとお蕎麦(そば)をお楽しみいただきますようにと願っております。 尚、前述のような事情にて量産はできません。ですから営業時間でも、しばしば品切れになり、ご注文をお受けできない場合がございます。予め、ご了承いただきますよう、なるべくお早めのご来店をお願いいたします。